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店の喫煙・禁煙表示|改正健康増進法の標識と外国人客対応

多言語一次情報 13本
公開 2026/10/15最終確認 2026/10/15執筆 編集部
厚労省の標識例16種類
喫煙可能室の客席100㎡以下
紛らわしい標識の過料50万円以下
改正法の全面施行2020年4月1日
分類多言語対応
所管厚労省・観光庁
最終確認日2026/10/15
出典13本

この記事の要約

改正健康増進法で飲食店・小売店の屋内は原則禁煙。喫煙専用室・加熱式たばこ専用喫煙室など4種類の喫煙室、2か所への標識掲示の義務、20歳未満の立入禁止、厚労省の日英標識と中国語訳、観光庁の対訳を整理します。

本文

2020年4月1日に全面施行された改正健康増進法で、飲食店や小売店の屋内は原則禁煙になりました。店の中で吸える場所を設けられるのは、たばこの煙が外に漏れない基準を満たした4種類の喫煙室のどれかに限られ、設けた店は、喫煙室の出入口と店の主たる出入口の2か所に決まった標識を掲示する義務を負います。喫煙室には客も従業員も20歳未満は立ち入れません。厚生労働省は日本語と英語を併記した標識の例を16種類公開し、中国語訳・韓国語訳の一覧も出しています。この記事では、店に関係するルールと、それを外国人のお客様にどう伝えるかを順に整理します。

2026年10月15日時点で、e-Gov法令検索の健康増進法、厚生労働省の受動喫煙対策のページと「なくそう!望まない受動喫煙」サイト、施行通知(平成31年2月22日)、観光庁の多言語対応ガイドラインを直接確認して書いています。都道府県や市区町村が条例で上乗せのルールを定めている場合があるため、自店の扱いは所在地の保健所で確かめてください。

RULE01店の中は原則禁煙。吸える場所は4種類の喫煙室だけ

健康増進法は、多くの人が利用する施設を3つに分けています。学校・病院・行政機関などの「第一種施設」、喫煙場所の提供を主な目的とする「喫煙目的施設」、そしてそれ以外の「第二種施設」です。一般の飲食店や小売店は第二種施設に当たり、屋内では、基準を満たした喫煙室の中を除いて喫煙が禁止されています(第29条)。

ここでいう喫煙には加熱式たばこも含まれます。法律は喫煙を「人が吸入するため、たばこを燃焼させ、又は加熱することにより煙(蒸気を含む。次号及び次節において同じ。)を発生させること」と定義しているためです(第28条第2号)。厚生労働省の標識例にも、「「喫煙」には、加熱式たばこを吸うことが含まれます。」という注記が入っています。

屋内で吸える場所として認められている喫煙室は、厚生労働省の整理では次の4種類です。どれを設けられるかは店の種類と規模で決まります。

喫煙専用室紙巻きたばこも加熱式たばこも吸えますが、室内で飲食などのサービスはできません。店の一部に設置でき、一般的な事業者が設けられる型です
加熱式たばこ専用喫煙室法令上の名前は「指定たばこ専用喫煙室」。吸えるのは厚生労働大臣が指定する加熱式たばこだけですが、室内で飲食ができます。店の一部に設置でき、当分の間の経過措置として認められています
喫煙可能室紙巻きたばこも吸え、飲食もできます。店の全部または一部に設置できますが、設けられるのは条件を満たす既存の小規模な飲食店(既存特定飲食提供施設)だけです。経過措置の扱いです
喫煙目的室シガーバーやたばこ販売店など、喫煙場所の提供を主な目的とする喫煙目的施設に限られます。飲食店型の場合、主食(米飯類、パン類(菓子パン類を除く。)、麺類等)を主として出す店は該当しません

喫煙室には煙の流出を防ぐ技術的基準があります。厚生労働省は、出入口で室外から室内に流入する空気の気流が0.2m毎秒以上であること、壁・天井等で区画されていること、煙が屋外に排気されていることの3点を示しています。既存特定飲食提供施設が店舗内の全体を喫煙可能室とする場合の技術的基準は、壁、天井等によって区画されていることとされています。基準を満たした室を設けられない店は、店内を禁煙にすることになります。

見落としやすいのが灰皿です。法律は、喫煙が禁止された場所に、専ら喫煙の用に供させるための器具や設備を、喫煙に使える状態で置いてはならないと定めています(第30条)。禁煙の客席に灰皿を置いておくこと自体が違反になりえます。

健康増進法の上では、店の外は喫煙禁止場所ではありません(自治体の条例で路上などの喫煙を禁じている場合があります)。そのうえで、法律は、喫煙する人に周囲の状況への配慮を求め、施設の管理権原者が喫煙場所を定めるときは望まない受動喫煙を生じさせない場所とするよう配慮しなければならないとしています(第27条)。店先に灰皿を置く場合も、この配慮が求められます。東京都の案内ページも、店先等での喫煙について苦情が寄せられることも多いとして注意を促しています。

EXISTING02喫煙可能室にできるのは、条件を満たす既存の飲食店だけ

喫煙可能室は、経営規模の小さい既存の飲食店に配慮して設けられた経過措置です。厚生労働省は、次の3つの条件をすべて満たす店に限って、喫煙可能室を選べるとしています(改正法附則第2条)。ただし、東京都のように、条例でこの対象をさらに絞っている自治体があります(後述の「自治体の条例による上乗せも確認する」)。

既存の店であること2020年4月1日時点で現に存する飲食店であること。その後に状況が変わった場合は、事業の継続性、経営主体の同一性、店舗の同一性等を踏まえて総合的に判断されます
資本金個人経営の店、または資本金の額又は出資の総額が5,000万円以下の会社が営む店であること(東京都の資料の表現では「中小企業(資本金の額又は出資の総額が5千万円以下)又は個人経営」)。資本金5,000万円以下の会社でも、一の大規模会社が発行済株式の総数の2分の1以上を有する場合などは除かれます
客席の面積客席面積100㎡以下であること。施行通知は、厨房、トイレ、廊下、会計レジ、従業員専用スペース等を除いた部分を客席としています

喫煙可能室を設けた店は、客席面積が分かる店舗図面と、会社が営む店の場合は資本金の額や出資の総額が記載された登記、貸借対照表、決算書等を備えて保存する義務があり、施行通知によれば、店の名称・所在地などを都道府県知事(保健所を設置する市や特別区では市長・区長)に届け出ることになっています。新しく開業した店や、物販だけで飲食をさせない店は、この型を選べません。

SIGN03標識は2か所に掲示する。厚労省の例は16種類

喫煙室を設けた店は、喫煙室の出入口に、その室が喫煙できる場所であることと20歳未満の者の立入りが禁止されていることを記載した標識を、店の主たる出入口に、喫煙室が設置されていることを記載した標識を掲示しなければなりません(第33条、第35条、改正法附則第2条・第3条)。店の全部を喫煙可能室や喫煙目的室にする場合は、2つを兼ねた1枚で足ります。脱煙装置を使って基準に適合させている喫煙室は、店の入口の標識にその旨も書く必要があります。

厚生労働省は、こうした標識の例を16種類、PDFとイラストレーター形式で公開しています。日本語と英語が併記され、別に中国語訳・韓国語訳の一覧が用意されています。飲食店や小売店に関係する主な標識の表記は次のとおりです。

喫煙専用室(喫煙室の出入口)Designated smoking room(中国語: 专用吸烟室)
喫煙専用室あり(店の入口)Designated smoking room available(中国語: 有专用吸烟室)
加熱式たばこ専用喫煙室(喫煙室の出入口)Designated heated tobacco smoking room(中国語: 加热式香烟专用吸烟区)
加熱式たばこ専用喫煙室あり(店の入口)Designated heated tobacco smoking room available(中国語: 有加热式香烟专用吸烟区)
喫煙可能室(喫煙室の出入口)Smoking room(中国語: 吸烟区)
喫煙可能室あり(店の入口)Smoking room available(中国語: 有吸烟区)
喫煙可能店(店の全部が喫煙可能室)Smoking area(中国語: 店内可以吸烟)
禁煙No Smoking(中国語: 禁止吸烟)

英語表記は短く、文字だけでは「別室で吸うのか、店内全体で吸えるのか」までは伝わりにくいところがあります。標識例ではピクトグラムがその差を補っていて、喫煙専用室はたばこの絵だけ、加熱式たばこ専用喫煙室と喫煙可能室はたばこにナイフとフォークの絵を添えて飲食ができることを示しています。施行通知は、標識の配置や配色等は各施設の様態により適宜加工・修正して使って構わないとしており、店のロゴなどを入れられる版も公開されています。ただし、喫煙室の種類と20歳未満の立入禁止が容易に識別できることは守る必要があります。

法律は、決められた場合以外に喫煙室の標識やそれに類似する標識を掲示すること、掲示された標識を除去・汚損することを禁じています(第37条、改正法附則第4条)。施行通知は、決められた場合以外の標識や類似標識によって、その場所が喫煙できる場所であるかのように誤認させることは法律の目的に沿わない、と禁止の理由を説明しています。違反した場合の扱いは厚生労働省が次のように整理しています。厚生労働省によれば、ここでいう過料は秩序罰としての過料で、金額は都道府県知事等の通知に基づき、地方裁判所の裁判手続きにより決定されます。

喫煙禁止場所での喫煙(すべての人)指導のうえ命令、命令違反は30万円以下の過料
紛らわしい標識の掲示・標識の汚損等50万円以下の過料
店の入口の標識の掲示(管理権原者)50万円以下の過料
喫煙室をやめた後の標識の除去30万円以下の過料
禁煙の場所の灰皿など喫煙器具・設備の撤去勧告・公表・命令、命令違反は50万円以下の過料
20歳未満の者を喫煙室に立ち入らせない指導・助言の対象

UNDER200420歳未満は客も従業員も喫煙室に入れない

喫煙室を設けた店の管理権原者等は、20歳未満の者を喫煙室に立ち入らせてはなりません(第33条第5項、第35条第7項)。厚生労働省は、喫煙を目的としない場合でも一切立入禁止で、従業員であっても立ち入らせることはできないとしています。施行通知はさらに、20歳未満の者を喫煙室に案内しないことはもちろん、20歳未満の従業員に喫煙室で業務をさせることも認められず、20歳未満と思われる者が立ち入ろうとしている場合は、声掛けや年齢確認で立ち入らせないようにすることが必要だとしています。

外国人のお客様には、この線引きが日本の法律で決まっていることを、入る前に伝えるのが親切です。標識例では、立入禁止は「UNDER 20」と書かれた人の絵に斜線を引いたピクトグラムで示されていますが、下の注記「20歳未満の方は立ち入れません。」は日本語だけです。店の全部を喫煙可能室にしている店では、20歳未満の人は店内そのものに入れないことになるので、家族連れや学生のグループには、入口で止めるより前に、予約時や店頭の案内で知らせておくと行き違いが減ります。

WEB05ホームページや予約ページでの書き方

加熱式たばこ専用喫煙室、喫煙可能室、喫煙目的室を設けた店は、営業について広告又は宣伝をするときに、その種類の喫煙室がある施設である旨を明らかにしなければなりません(第35条第8項、改正法附則第2条第4項・第3条第2項)。施行通知は、ホームページや看板等の媒体で明瞭かつ正確に表示するよう求めています。

外国人のお客様は、店に来る前に地図アプリや予約サイトで店を選びます。喫煙室の有無と種類、20歳未満の入店の可否は、店頭だけでなく、店のホームページ、予約ページ、地図サービスの店舗情報にも同じ内容で載せておくと、着いてから断る事態を防げます。地図サービスの店舗情報の整え方はGoogleビジネスプロフィールの設定|外国人客向け、予約の受け方はインバウンド向け予約・順番待ちの整え方で扱っています。

LANGUAGE06禁煙の店も、外国語で禁煙を伝える

健康増進法が掲示を義務づけているのは喫煙室を設けた場合の標識で、全面禁煙の店に禁煙の標識を貼る義務は法律には書かれていません。それでも、厚生労働省の標識例には「禁煙/No Smoking」も含まれています。観光庁の多言語対応ガイドラインは、禁煙を「禁止・注意を促す」表示(タイプA)の例に挙げ、この種類の表示は速やかに多言語対応等の措置を講ずることが望ましいとしています。入口と客席から見える位置に禁煙の表示があれば、灰皿を探されたり、加熱式たばこなら構わないと思われたりする場面を減らせます。

同じガイドラインの対訳語一覧には、喫煙に関する表現も載っています。

禁煙No Smoking(中国語: 禁止吸烟)
喫煙所Smoking Area
喫煙は指定場所でSmoking in special areas only(中国語: 吸烟请到指定场所)

加熱式たばこも禁止であることを明確にしたい場合は、厚生労働省の標識例と同じく、喫煙に加熱式たばこが含まれる旨を添えると誤解が減ります。禁煙のピクトグラムの選び方や、店頭表示全体の多言語化は店頭の案内表示を多言語にする方法|観光庁指針とJIS、メニューに注記を入れる場合の翻訳の進め方は多言語メニューの作り方を参照してください。

LOCAL07自治体の条例による上乗せも確認する

健康増進法とは別に、条例で独自のルールを定めている自治体があります。たとえば東京都は、東京都受動喫煙防止条例で、20歳未満の人や従業員を受動喫煙から守る観点から都独自のルールを定めています。都の資料「健康増進法・都条例の対象施設のポイント」は、従業員のいる飲食店を「原則屋内禁煙(喫煙専用室、指定たばこ専用喫煙室内でのみ喫煙可)」とし、「従業員を使用していない場合は、禁煙・喫煙を選択することができる」としています。都内では、喫煙可能室の3つの条件を満たす店でも、従業員がいれば喫煙可能室は選べません。ここでいう従業員について、都の資料は「賃金を支払われている者(ただし、同居親族等を除く。)」としています。また、都の案内ページは「飲食店は禁煙の場合でも標識の提示が必要です」としています。東京都は、英語・繁体字・簡体字・韓国語で都内の喫煙ルールをまとめたページ「KNOW TOKYO'S SMOKING RULES」も公開しています。

ほかの地域でも、条例の有無や内容は自治体ごとに違います。喫煙可能室の届出先や標識の配布も含め、所在地の自治体のページと保健所で確認してください。

FAQ08よくある質問

Q. 加熱式たばこなら、客席で吸ってもらっても構いませんか?
A. 構いません、とはなりません。健康増進法は加熱して蒸気を出すことも喫煙に含めており、客席が喫煙禁止場所なら加熱式たばこも吸えません。客席で加熱式たばこを認めるには、技術的基準を満たした加熱式たばこ専用喫煙室などを設け、標識を掲示する必要があります。
Q. 全面禁煙の店にも標識は必要ですか?
A. 健康増進法で掲示が義務になっているのは、喫煙室を設けた場合の標識です。ただし東京都のように、条例で禁煙の飲食店にも標識の掲示を求めている自治体があります。所在地の自治体で確認してください。外国人のお客様向けには、義務の有無にかかわらず禁煙の表示を出しておくと伝わりやすくなります。
Q. 今から開業する店で喫煙可能室を設けられますか?
A. 設けられません。喫煙可能室を選べるのは、2020年4月1日時点で現に存する飲食店で、個人経営または資本金5,000万円以下の会社が営む、客席面積100㎡以下の店に限られます。店舗の移転や経営者の交代があった場合は、事業の継続性などから総合的に判断されるため、保健所に確認してください。東京都では、条例により、喫煙・禁煙を選べるのは従業員を使用していない店(都指定特定飲食提供施設)に限られます。
Q. 外国人のお客様が20歳以上か分からないときは?
A. 施行通知は、20歳未満と思われる者が喫煙室に立ち入ろうとしている場合、声掛けや年齢確認で立ち入らせないようにすることが必要だとしています。喫煙室の入口にある「UNDER 20」のピクトグラムを示しながら、年齢を確かめてください。
Q. 標識に中国語や韓国語を書き足してもいいですか?
A. 厚生労働省は標識の中国語訳・韓国語訳の一覧を公開しています。施行通知が「適宜加工・修正の上、使用して構わない」としているのは標識の配置や配色等についてです。言語を書き足す場合も、喫煙をすることができる場所である旨と20歳未満の者の立入りが禁止されている旨を容易に識別できる状態は保ってください。判断に迷う場合は保健所に相談してください。

喫煙の表示は、多言語の店頭表示やメニュー、予約ページと一緒に見直すと手戻りが少なくなります。インバウンド対策全体の中での優先順位は店舗のインバウンド対策 完全ガイド【2026年版】で整理しています。

※本記事は健康増進法と受動喫煙対策の公的資料をもとに、店舗の表示を中心に整理したものです。個別の店舗がどの喫煙室を設けられるか、技術的基準を満たしているかは、所在地の保健所にご確認ください。条例による独自のルールは自治体ごとに異なります。

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最終確認日

2026/10/15

執筆

編集部

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