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店頭の案内表示を多言語にする方法|観光庁指針とJIS

多言語一次情報 6本
公開 2026/10/14最終確認 2026/10/14執筆 編集部
多言語表示に困った10.9%
翻訳アプリで対処57%
誤訳があった20%
指針の対訳400以上
分類多言語対応
所管観光庁・国交省
最終確認日2026/10/14
出典6本

この記事の要約

入口・会計・トイレ・撮影禁止など店の案内表示を外国人に伝わる形にする方法を、観光庁の多言語対応ガイドライン、JIS Z8210の案内用図記号、訪日客の困りごと調査(令和7年度)をもとに整理します。

本文

店の多言語対応というとメニューの翻訳が先に浮かびますが、入口、会計、お手洗い、営業時間、撮影禁止といった案内表示も、外国人のお客さまが迷う場所です。この記事では、観光庁の「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」と、ピクトグラムの国内規格であるJIS Z8210を土台に、店頭・店内の表示を何から、どう直すかを整理します。メニュー自体の作り方は多言語メニューの作り方で扱っています。

2026年10月14日時点で、観光庁のガイドライン(平成26年3月)、国土交通省の案内用図記号(JIS Z8210)のページ、日本産業標準調査会のFAQ、観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」令和7年度調査結果を直接確認して書いています。

DATA01訪日客は表示のどこで困っているか

観光庁が令和7年11月18日〜令和8年1月13日に成田・羽田・関西・福岡・新千歳の5空港で行った調査(4,110件)では、旅行中に困ったこととして「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」が10.9%ありました。最多は「ごみ箱の少なさ」(17.2%)、次いで「施設等のスタッフとのコミュニケーション」(15.4%)です。

困った場所多言語表示に困った人(446人・複数回答)のうち、鉄道駅構内と飲食店がともに24%で最多。地方部だけを訪れた人では飲食店(23%)が最も多い
困った内容「多言語対応されていない/表示言語数が不足している」67%、「記載量が原文と比較して少ない」24%、「誤訳があった」20%、「固有名詞等の表記が統一されていない」9%
困ったときの行動翻訳アプリなどのICTツールで解読した57%、周りのスタッフや旅行客に聞いた36%、解読を諦めた29%

表示がないことに加えて、訳が短すぎる・間違っている・呼び方がばらばらという中身の問題も挙がっています。翻訳アプリで読まれる前提でも、元の表示が整っていなければ正しく伝わりません。同じ調査でスタッフとのコミュニケーションに困った場所は飲食店が38%、カード利用に困った場所も飲食店が32%で最多でした。会話の補助は翻訳ツールの選び方、支払いの整え方はインバウンドの決済対応を参照してください。

PRIORITY02直す順番──禁止・注意、案内、解説の3種類

観光庁のガイドラインは、多言語にする情報を3つに分け、対応の時期も分けています。店に当てはめると次のようになります。

禁止・注意を促す(タイプA)立入禁止・危険、禁煙・飲食禁止、非常時の情報提供など。ガイドラインは速やかに対応することが望ましいとしています。店なら「関係者以外立入禁止」「撮影禁止」「商品に触れないで」など
名称・案内・誘導・位置を示す(タイプB)施設名、案内図、券の使い方など。できる限り早期に。店なら店名、入口、会計、お手洗い、営業時間、定休日、支払い方法の掲示など
文章で解説する(タイプC)展示物の解説など。店なら商品の由来や使い方の説明。日本特有の物は直訳だけでは伝わらないため、補足説明を加えることが望ましいとしています

まず店内の表示を書き出してA・B・Cに分け、Aから手を付けるのが実務的です。Aはトラブルや事故に直結し、しかもピクトグラムで伝えやすい種類です。

LANGUAGE03何語で書くか──英語併記が基本

ガイドラインは、タイプAとBは(明らかに訪日客に役立たない情報を除き)英語併記を基本とし、施設の特性や地域の特性から必要性が高い場合は、視認性や美観に問題がない範囲で中国語・韓国語、さらにタイ語など必要な言語を加えることが望ましいとしています。中国語には簡体字と繁体字があるため、加えるならどちらを使うかを客層で決めます。どの国・地域の客が多いかはインバウンド国籍別データを参考に、自店の来店客の実態と合わせて判断してください。

看板に入れる言語を増やしすぎると、一つひとつの文字が小さくなります。ガイドラインはパンフレット・チラシなどの紙、モバイル媒体、係員の口頭案内、音声案内で多言語対応を補うことも効果的とし、紙やモバイルで伝える場合はバーコード等の活用も有効な手法の一つとしています。看板は日本語+英語+ピクトグラム、詳しい説明はQRコードの先のページで多言語に、という分け方が現実的です。

ENGLISH04英語表記のルール──ローマ字と訳し方

  • ローマ字はヘボン式: 日本由来の固有名詞は読みをヘボン式で書きます(例: 東京→Tokyo、西新宿→Nishi-Shinjuku)
  • 「○○公園」のような名前: 固有名詞部分は読み、普通名詞部分は英訳します(例: 日比谷公園→Hibiya Park、熊本城→Kumamoto Castle)
  • 英語にない日本の物: 読みを書いたうえで説明を添えます(例: 暖簾→Noren (Traditional shop curtain))。寿司のように読みが広く知られていれば説明は不要とされています
  • 英語に対訳がある物: 意味で訳します(例: 本→Book)。日本語の読みも伝えたいときは、読みの後に意味を括弧で添えます(例: 茶碗→Chawan (Tea bowl))
  • 括弧と略語: 括弧の前には半角スペースを入れます。スペースが足りなければStation→Sta.、Building→Bldg.のような略語も使えます
  • 店名の英語表記を決めているとき: 定款などで外国語表記を決めている場合は、このルールによらなくてよいとされています。決めた表記を看板・レシート・地図サービス・SNSでそろえることが大切です

最後の点は調査の「固有名詞等の表記が統一されていない」(9%)に関わります。ガイドラインも、名称や案内の表記は地域や関係者の間で統一し、迷わせないようにすることが必要としています。店名、商品名、ビル名の英語表記を一覧にして、地図サービスの登録内容とも合わせておくと表記ゆれを防げます。

PICTOGRAM05ピクトグラムはJIS Z8210の図記号を使う

言葉を使わずに伝えられるのがピクトグラムです。ガイドラインは、禁止・注意や案内・誘導の表示で、ピクトグラムで十分に伝えられる場合は有効であり、外国語の併記がなくてもよい場合があるとしています。使う図記号は、統一性の観点からJIS Z8210(案内用図記号)のものが望ましく、独自の配色やデザインに変える場合は旅行者が混乱しないよう十分注意するよう求めています。

国土交通省の「案内用図記号(JIS Z8210)」のページでは、分野別の一覧をPDFで確認できます。店でよく使うものは次のとおりです。

  • 商業施設: レストラン、コンビニエンスストア、喫茶・軽食、バー、会計(Cashier)など
  • 公共・一般施設: お手洗、男女共用お手洗、ベビーケアルーム、無線LAN、銀行・両替、手荷物一時預かり所、エレベーターなど
  • 禁止: 禁煙、撮影禁止、フラッシュ撮影禁止、さわるな、捨てるな、立入禁止、ベビーカー使用禁止など

使ってよいかについて、日本産業標準調査会のFAQは、図記号が規定されたJISの適用範囲で看板や標識に使う場合は利用許諾の確認は不要と答えています。看板用の電子データは一般財団法人日本規格協会が販売しています。なお、ガイドラインの図記号一覧では一部の図記号に「文字による補助表示が必要」との注記があるため、図だけで済ませず短い英語を添えると伝わりやすくなります。

WORDS06店でよく使う表示の対訳

ガイドラインには英語・中国語(簡体字)・韓国語で400以上の用語の対訳が載っています。店の表示に使えるものを英語と中国語(簡体字)で抜き出しました。韓国語の対訳も同じ表にあります。

入口/出口Entrance/Exit(中国語: 入口/出口)
会計(キャッシャー)Cashier(中国語: 结帐)
お手洗い/トイレRestroom/Toilet(中国語: 洗手间/厕所)
禁煙No Smoking(中国語: 禁止吸烟)
撮影禁止No Photos(中国語: 禁止拍摄)
飲食禁止No Food or Drink(中国語: 禁止饮食)
関係者以外立ち入り禁止Authorized Persons Only(中国語: 闲人免进)
開館時間/休館日Hours/Closed(中国語: 开馆时间/休馆日)

「開館時間」「休館日」は美術館などを想定した語ですが、英語のHours・Closedは店の営業時間・定休日の掲示にもそのまま使える語です。中国語は店舗向けに言い換えた方が自然な場合があるため、中国語話者に確認してから掲示してください。またガイドラインは、標識で一文だけなら中国語の句点「。」は不要、二文以上ならすべてに句点が必要としています。

CHECK07掲示する前の確認──調査の困りごとから逆算する

  • 情報を削りすぎない: 「記載量が原文より少ない」は24%。日本語に書いてある条件(例: カード払いの下限額、ラストオーダーの時刻、予約優先の席)を英語版で落としていないか見比べます
  • 誤訳を人の目で確認する: 「誤訳があった」は20%。機械翻訳は下書きに使い、ガイドラインの対訳や英語・中国語話者の確認で仕上げます
  • 表記をそろえる: 店名・商品名の英語表記を一覧にし、看板・メニュー・レシート・地図サービスで同じにします
  • 貼りすぎない: ガイドラインは、情報が重複する標識は撤去して重複を避け、近接して景観を損ねる場合は一つにまとめる方法を挙げています。これは屋外で他の標識と並ぶ場合の話ですが、店内でも同じ注意書きを何枚も貼るより、入口や会計など見てほしい場所に絞る方がよいと編集部は考えます
  • デザインより伝わること: デザインや設置方法を重視しすぎて、本来伝えたいことが伝わらなくならないよう注意するよう、ガイドラインも書いています

免税店の場合は、税関確認や返金についての説明を外国語の書類や掲示で行う場面も出てきます。2026年11月からの手続はリファンド方式の免税販売の流れにまとめました。表示の制作費に使える補助制度はインバウンド補助金まとめで確認できます。

FAQ08よくある質問

Q. ピクトグラムがあれば英語は書かなくてもいいですか?
A. 観光庁のガイドラインは、ピクトグラムで十分に伝わる場合は外国語の併記がなくてもよい場合があるとしています。ただし一部の図記号は文字による補助表示が必要とされているため、禁止や注意の表示では短い英語を添えるのが無難です。
Q. JISのピクトグラムを店の看板に使うのに許可は要りますか?
A. 日本産業標準調査会のFAQでは、図記号が規定されたJISの適用範囲で看板や標識に使う場合は利用許諾の確認は不要とされています。それ以外の用途で使う場合は同会への問い合わせが案内されています。
Q. 英語以外に何語を加えるべきですか?
A. ガイドラインは英語併記を基本とし、施設や地域の特性から必要性が高い場合に中国語・韓国語などを加えることが望ましいとしています。全国平均より、自店に来るお客さまの国・地域で決めるのが確実です。
Q. ガイドラインは古くないですか?
A. 平成26年3月の策定ですが、観光庁の多言語対応に関する共通指針として公開が続いています。ピクトグラムはその後JIS Z8210の改正で追加・変更があるため、最新の一覧は国土交通省のページで確認してください。

※本記事は観光庁のガイドラインとJISの一覧をもとにした情報提供です。消防法令や条例で表示が定められている設備(非常口・消火器など)は、所轄の消防署などの指示に従ってください。

出典

確認状況

最終確認日

2026/10/14

執筆

編集部

注意

制度・数字は改正等で変わります。最新の内容はリンク先の公式ページでご確認ください。

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