リファンド方式の免税販売の流れ|店頭から返金まで
| 税関確認の期限 | 90日 |
|---|---|
| 適用開始 | 2026年11月1日 |
| 1日の購入下限(税抜) | 5千円以上 |
| 記録の保存 | 7年間 |
| 分類 | 免税・制度 |
| 所管 | 国税庁・観光庁 |
| 最終確認日 | 2026/10/14 |
| 出典 | 6本 |
この記事の要約
2026年11月1日の販売分から免税販売はリファンド方式に。旅券の確認、説明、購入記録情報の送信、税関確認結果の取得、返金、会計処理と7年保存まで、免税店が日々行う手順を国税庁のQ&Aとパンフレットで追います。
本文
免税店の販売手続は、2026年(令和8年)11月1日の販売分から「リファンド方式」に変わります。店頭ではいったん税込価格で売り、旅行者が出国時に税関の確認を受けたあとで、店(または委託先)が消費税相当額を返金する仕組みです。現行方式と併用する移行期間はありません。この記事は、許可を受けた店がレジで毎日何をするかに絞り、旅券の確認から返金・会計処理・保存までを順に追います。許可の取り方は免税店になるには、システム選びは免税対応レジ・POSの選び方で扱っています。
FLOW01全体の流れは8つの段階
国税庁のパンフレットは、免税店側の手続を次の8段階で示しています。①〜⑤が店頭(販売時)、⑥〜⑧が旅行者の出国後の作業です。
- ① 旅券等の提示を受け、記載情報の提供を受ける
- ② 免税購入対象者であることを確認する
- ③ 必要事項を説明する(90日以内の出国時に税関確認が要ることなど)
- ④ 免税対象物品を引き渡す(税込価格での課税販売)
- ⑤ 購入記録情報を国税庁の免税販売管理システムへ送る
- ⑥ 税関確認情報を取得する(旅行者の出国後)
- ⑦ 購入記録情報と税関確認情報を保存する(7年間)
- ⑧ 免税が成立し、旅行者へ返金する
現行方式との大きな違いは、免税が販売時ではなく、税関確認情報を保存した時点で成立することです。購入日から90日以内の出国時に税関の確認を受けられなければ、その販売は課税のまま確定します。
ID CHECK02店頭で確認するもの──誰が対象で、何を見せてもらうか
免税購入対象者は、外国籍なら短期滞在・外交・公用の在留資格で在留する人や、寄港地・船舶観光・通過・乗員などの上陸許可で在留する人など。日本国籍なら、国外に引き続き2年以上住所または居所がある人です。2年の判定は国外転出(定住)の日から最終入国日までの期間で行い、証明書類の作成日では判定しません。また、入国後6か月以上たった人は対象になりません(Q&A問5)。確認書類は区分で変わり、提示がなければ免税販売手続はできません。
| 一般的な訪日客 | 旅券(上陸許可の証印を受けたもの)。旅券情報が記録されたVisit Japan Webの二次元コードの提示も含みます |
|---|---|
| 船舶観光・乗員などの上陸許可で在留する人 | 旅券と上陸許可書(船舶観光上陸許可の場合、旅券は写しでも可) |
| 日本国籍の人 | 旅券に加え、在留証明・戸籍の附票の写し・マイナンバーカード(国外転出の記載があるもの)のいずれか。在留証明と戸籍の附票の写しは、最終入国日から6か月前の日以後に作成されたものに限られます(Q&A問5) |
マイナンバーカードは原本での確認に限られ、コピーは使えません。スマートフォンのマイナンバーカードは、デジタル庁の「マイナンバーカード対面確認アプリ」などの確認用プログラムを通じて提示を受ける必要があり、本人のスマホ画面を見るだけでは提示を受けたことになりません(観光庁FAQ問1)。
ITEMS03売れる物と金額の条件
- 購入下限: 一般物品・消耗品の区分がなくなり、同じ人に、同じ免税店で、1日に販売した税抜価額の合計が5千円以上。同じ日なら、時間や売場が別でも合算して手続できます(Q&A問6)
- 上限・包装: 消耗品の購入上限(50万円)と特殊包装は廃止
- 対象外: 金・白金の地金、金貨・白金貨、消費税が非課税の物品。なお18金やプラチナのネックレスのような地金を原料にした加工製品は対象です(観光庁FAQ問3)
- 数量: 用途は問われない一方、出国時に旅行者自身がすべて所持して持ち出せる数量に限られます(Q&A問7)
- 高額品: 税抜単価100万円以上の商品は、シリアル番号などの「商品情報詳細」を購入記録情報に設定します
EXPLAIN04旅行者への説明──掲示だけでは足りない
免税販売手続の際、店は次の内容を説明しなければなりません。国税庁Q&A問18の記載例を要約すると次のとおりです。
- 購入日から90日以内の出国時に、税関で旅券を提示するなどして確認を受けること。受けなければ返金されないこと
- 税関に求められたら免税対象物品を見せられるようにしておくこと
- 確認を受けた物品は遅滞なく輸出すること。輸出しなければ消費税相当額を徴収され、罰則の対象になること
- 税関の確認は手荷物を機内に預けた後では受けられないため、預ける前に出発ロビーの免税手続用端末で確認を受けること
説明は口頭のほか、外国語の書類を渡す、店内に外国語の書類や説明ページの二次元コードを掲示する方法も認められています。ただし渡す・貼るだけでは不十分で、「書類をご一読ください」と口頭で促す必要があります。国税庁は英語・中国語・韓国語・日本語と多言語併記版のリーフレットを公開しているので、まずはそれを使うのが手早い方法です。
もう一つ伝えておきたいのが食品や化粧品の扱いです。消耗品を出国前に一部でも使ったり食べたりすると、そのレシート分は税関の確認を受けられません。消耗品以外は国内で使っていても、最終的に持ち出せば確認を受けられます(Q&A問39)。箱や袋を捨てたり中身と分けたりすると物品を特定できず確認を受けられないおそれがあるため、購入時の状態で持ち帰るよう案内しておくと、行き違いが起きにくくなります。出国前に食べた・使ったと申し出があった場合は、免税にならないことを説明したうえで取消データを送信します(Q&A問38)。
RECORD05購入記録情報の送信と、取消し・返品
購入記録情報は、免税販売手続の際に遅滞なく国税庁の免税販売管理システムへ送ります。税関はこの情報をもとに確認するため、誤りや漏れがあると旅行者は確認を受けられず、店も免税になりません。実務で迷いやすい点を挙げます。
| 販売価額の入れ方 | 店頭は税込で売りますが、購入記録情報の「販売価額」は税抜価額で設定します(Q&A問100) |
|---|---|
| 値引き・ポイント | 値引き後の税抜価額を設定(ポイントの利用による値引きを含む)。ただし支払手段として商品券やポイントを使った場合は、購入記録情報に反映させる必要はありません。値引きが個々の商品に対応しない場合は合理的にあん分します(Q&A問102) |
| 回線故障で送れない | 復旧後すみやかに、事後送信である旨と要因を「備考」欄に入れて送ります。その時点で旅行者が出国済みなら免税は受けられません(Q&A問23) |
| 返品 | 全部返品なら取消データを送信。一部返品なら取消データの送信後、訂正した購入記録情報を改めて送ります(Q&A問98) |
| 税関確認後の取消し | 税関確認結果が登録された購入記録情報は取り消せません(国税庁FAQ Q9)。確認後に不良品で返金する場合も、当初の情報を取り消す必要はありません(Q&A問98) |
CUSTOMS06税関確認は「レシート単位」──結果の取り方
旅行者は出国する空海港の免税手続用端末で旅券を読み込ませ、検査不要(グリーン)なら手続完了、検査が必要(レッド)なら検査場で物品を確認されます。成田・羽田・関西・中部・新千歳・福岡・那覇では、Visit Japan Web を使ったオンラインの確認もできます(Q&A問33・観光庁の免税店向けリーフレット)。期限の「購入日から90日以内」は購入日の翌日から数えて90日目までで、11月1日に買った物なら翌年1月30日が確認期限です。
注意したいのは、確認が購入記録情報(通常はレシート1枚)単位で行われることです。1枚のレシートにA・B・Cの3品があり、Cだけ持っていなかった場合、A・Bを含む3品すべてが確認を受けられず、店も3品とも免税になりません(Q&A問37)。別の店や別の会計で買った物は、それぞれ別に判定されます(観光庁FAQ問10)。
店は税関確認結果を免税販売管理システムに照会して取得します。結果は「税関確認済」と「免税不可」の2種類で、持出しが確認されたとき、持ち出さないことが確認されたとき、90日以内に確認を受けられなかったときに登録されます。いったん出た結果は変わらず、照会できるのは登録から460日間です(国税庁FAQ Q6〜Q8)。保存が必要なのは「税関確認済」の方です。
REFUND07返金のやり方──方法は店が決める
返金の具体的な方法は消費税法令に定めがなく、店が決めます。国税庁は例として銀行振込、クレジットカード送金、アプリ送金、税関確認を受けた出国港内での現金返金を挙げています(Q&A問57)。店が自ら行うことも、承認送受信事業者などに委託することもできます。
- 自分で返金する場合: 資金決済法の資金移動業の登録が必要になる場合があるほか、犯罪収益移転防止法の本人確認(例: 10万円以上の現金での為替取引など)や、外為法の許可対象(経済制裁の対象者など)でないかの事前確認が必要になります(Q&A問58)
- 委託する場合: 返金に対応予定の承認送受信事業者の一覧は全国免税店協会のサイトにあります。ただし協会が各社の申告をまとめたもので、国が認可や保証をしたものではないと注記されています。返金を委託する場合、店が資金移動業の登録を受ける必要はありません(観光庁FAQ問18)。返金代行の手数料を旅行者と店のどちらが負担するかに定めはありません(同問17)
- 先に返金する場合: 税関確認前の返金も禁止されていませんが、旅行者が確認を受けなければ免税にならず、返金後の金額で課税販売したことになります。店の責任で判断します(Q&A問57)
- 返金できなかった場合: 口座番号の誤りなど旅行者側の事情で返金できなくても、税関確認情報を保存していれば免税になります。当事者間の契約で返金不要になった分は雑益(不課税)で処理します(Q&A問59)
返金できないまま、いつ雑益に切り替えるかの期間も法令にはありません。国税庁は、販売時に「返金申請がないまま▲日が過ぎたら返金できない」といった取り決めを案内し、あらかじめ合意しておく方法を例示しています。説明リーフレットと一緒に、自店の返金方法と申請期限を外国語で渡せるようにしておくと、問い合わせを減らせます。
ACCOUNTING08会計処理と保存──課税で計上し、確認後に振り替える
- 振替: 販売時は課税売上げで計上し、税関確認情報を保存したら免税売上げに振り替えます。確認情報を受け取るたびに振り替えても、月次などでまとめて振り替えてもかまいません
- 期をまたぐ場合: 販売した期の申告を直さず、確認情報を保存した期で調整する方法も認められます(継続して同じ処理をすることが条件)
- 保存期間: 購入記録情報と税関確認情報を、販売日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間、納税地などに保存します。電子データ(電子帳簿保存法に沿った措置が必要)か、整然と印刷した書面で保存します
- 保存がない場合: 相手が免税購入対象者でも免税の適用を受けられません(災害などやむを得ない事情を証明した場合を除く)
- インボイス: 旅行者への販売では一般的に交付義務は生じないとされますが、交付しても差し支えありません。「税関確認後は免税となる」旨のスタンプ表示もできます(Q&A問56)
会計処理の具体的な仕訳は国税庁パンフレット7ページに例があります。自店の処理方法は顧問税理士と決めておくと、11月以降の月次決算で慌てずに済みます。旅行者への支払い手段の整え方はインバウンドの決済対応も参考にしてください。
FAQ09よくある質問
※本記事は制度の流れを整理した情報提供です。個別の税務処理や返金業務の法的な要否は、所轄の税務署・税理士・各法令の所管官庁に確認してください。免税以外の受け入れ準備の全体像は店舗のインバウンド対策 完全ガイドにまとめています。
出典
- 国税庁「輸出物品販売場制度 リファンド方式について」(令和7年12月)
- 国税庁「輸出物品販売場制度に関するQ&A(リファンド方式)」(令和8年7月)
- 国税庁「リファンド方式(税関確認結果)のFAQ」
- 観光庁 消費税免税店サイト「免税店向け よくある質問(リファンド方式)」
- 国税庁「輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し」特設ページ(説明用リーフレット掲載) ─ https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/menzei/201805/format/002.htm
- 観光庁「消費税免税制度リファンド方式リーフレット(免税店向け)」 ─ https://www.mlit.go.jp/kankocho/tax-free/content/001978459.pdf
確認状況
2026/10/14
編集部
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