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2026/10/14 | 外国人客の食物アレルギー対応|表示義務とメニューの書き方

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外国人客の食物アレルギー対応|表示義務とメニューの書き方

多言語一次情報 15本
公開 2026/10/14最終確認 2026/10/14執筆 編集部
表示義務の品目9品目
表示を推奨する品目20品目
カシューナッツ追加2026年4月1日
カシュー経過措置2028年3月31日
分類多言語対応
所管内閣府・国交省・農水省
最終確認日2026/10/14
出典15本

この記事の要約

食物アレルギー表示が義務になるのは容器包装された加工食品で、飲食店の料理は対象外です。2026年4月から9品目になった特定原材料と、外国人客向けメニューの書き方、消費者庁の多言語シートを整理します。

本文

食物アレルギーの表示が法律で義務になっているのは、容器包装された加工食品です。飲食店で出す料理や、包まずに対面で売る弁当・パン・ケーキは表示義務の対象外で、メニューに書くかどうかは店の判断に任されています。ただし消費者庁は、表示義務がかからない店でも、メニューやウェブサイトでの表示、スタッフの研修などに取り組むよう求めています。表示義務がある「特定原材料」は、2026年4月1日にカシューナッツが加わって9品目になり、表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」は20品目です。この記事では、義務がかかる範囲とかからない範囲を消費者庁の資料のとおりに整理したうえで、外国人のお客様に向けたメニューの書き方と、注文時の確認に使える公的な多言語の道具をまとめます。宗教や菜食(ハラル・ヴィーガンなど)への配慮は食の制限対応の基本で扱っているので、ここではアレルギーに絞ります。

2026年10月14日時点で、消費者庁の「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」(令和8年4月版)、外食・中食事業者向けパンフレット(令和8年7月版)、訪日外国人向け食品表示制度パンフレットを直接確認して書いています。品目は改正で増減するので、メニューを作り直すときは消費者庁の「食物アレルギー表示に関する情報」のページで最新の品目を確かめてください。本記事は表示と情報提供のしくみを扱うもので、症状や治療についての判断は医療機関に委ねます。

SCOPE01表示が義務になる範囲と、ならない範囲

根拠になる法律は食品表示法で、具体的なルールは食品表示基準(内閣府令)に書かれています。消費者庁のハンドブックは、アレルギー表示の対象と対象外を次のように分けています。同じ店でも、売り方によって義務がかかるものとかからないものが混ざる点に注意してください。

表示が義務になるもの容器包装されたアレルゲンを含む加工食品と添加物。アレルゲンに由来する添加物を使った場合は、一部の生鮮食品も対象になります
対象外:包まずに売る食品容器包装に入れずに販売する食品(ばら売りや量り売りなど)
対象外:店内で食べさせる食品設備を設けて飲食させる食品(飲食店で提供される食品、出前など)
飲食店でも義務がかかる場合飲食店で容器包装に入れた食品を販売する場合は表示が必要です
対象外:酒類症状が特定原材料によるものかアルコールの作用によるものかの判断が極めて難しいため、現時点では表示義務の対象になっていません
小さな包装表示できる面積が30平方センチメートル以下でも、アレルギー表示は省略できません

つまり、レストランのメニューにアレルギー情報を載せないことは法令違反ではありません。一方で、店頭で売る土産用の焼き菓子や、持ち帰り用に容器包装して並べる商品は、表示の対象になります。食品表示基準は、食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合に原材料名などの表示を不要としていますが、アレルゲンはその対象に含まれていません(第5条)。自店の商品が対象に当たるか迷うときは、ハンドブックが問い合わせ先として挙げている消費者庁食品表示課か、最寄りの保健所の食品衛生担当課に確認してください。

ITEMS02特定原材料9品目と、準ずるもの20品目

消費者庁は、全国のアレルギー専門医を対象に概ね3年ごとに行う実態調査の症例数や重篤度をもとに、表示の対象品目を決めています。2026年4月時点の品目は次のとおりです。

特定原材料(表示義務)9品目えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)
特定原材料に準ずるもの(表示推奨・任意)20品目アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、ピスタチオ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

ここ数年、品目は何度か変わっています。くるみは2023年3月9日に特定原材料に加わり、その経過措置は2025年3月31日で終了しています。2024年3月28日には準ずるものにマカダミアナッツが加わり、まつたけが外れました。そして2026年4月1日、カシューナッツが準ずるものから特定原材料に移り、同じ日にピスタチオが準ずるものに加わりました。

カシューナッツには経過措置があり、2028年3月31日までに製造・加工・輸入される加工食品(業務用を除く)と、同日までに販売される業務用加工食品は、改正前の表示のままでもよいとされています(令和8年4月1日内閣府令第34号の附則)。そのため当面は、カシューナッツを含んでいても表示がない仕入れ品が出回る可能性があります。仕入れたソースやルウ、菓子などを使う店は、包装の表示だけでなく、仕入れ先の規格書でも原材料を確かめておくと安心です。

古い資料の品目数にも注意が必要です。国土交通省(平成20年)や農林水産省(平成29年)がかつて出した外国人客向けの手引きには、当時の品目が載っています。たとえば農林水産省のガイドブックは、アレルギーで注意すべき主な食材として「エビ、カニ、小麦、ソバ、卵、乳、落花生(これら7品目は、特に患者が多く症状が重い)」と書き、胡桃やカシューナッツはこの7品目に入れず、松茸も挙げています。接客の考え方は今も参考になりますが、品目の一覧は消費者庁の最新の資料に合わせてください。

もう一つ知っておきたいのは、表示の対象品目が国によって違うことです。消費者庁の訪日外国人向けパンフレットも、日本と海外では表示されるアレルゲンが一致しないことがあると旅行者に注意を促しています。ハンドブックの参考表では、EUやスイスはマスタード、セロリ、ルピナスも義務表示の品目に挙げ、木の実類の範囲にはヘーゼルナッツやペカン、ブラジルナッツなども入っています。外国人のお客様が日本の9品目にない食材を伝えてくることは十分ありえるので、「表にない=確認不要」とは考えないでください。

RESTAURANT03飲食店の表示は義務ではない。それでも求められていること

ハンドブックは、レストランのように表示義務がかからない条件で食品を出す場合でも、食物アレルギーの方からの問い合わせに適切に対応できるよう、メニューやウェブサイトに特定原材料等を表示する、スタッフの研修を行うといった取組を求めています。外食・中食事業者向けパンフレットは、アレルギー疾患対策基本法にもとづく基本指針が令和3年度に改正され、国が外食事業者等の情報提供の取組を積極的に推進すると追記されたことを踏まえて作られたものです。同じパンフレットは、食物アレルギーの患者団体を対象にした調査で、外食で情報が十分に得られていないと答えた団体が67%、中食では77%だったという消費者庁の調査結果(令和4年3月)も紹介しています。

パンフレットが挙げる「情報提供を行うときのチェック項目」は、店の方針を決めるときの骨組みになります。

  • 最新で正確な情報を出す: 間違った情報は誤食事故につながりかねません。正確に出せる範囲から始めるのも一つの方法で、「定番メニューだけ」「卵・乳・小麦だけ」のように対象範囲を明示して表示するやり方が紹介されています
  • あいまいな回答をしない: わからないときは「わからない」と答えます
  • 意図しない混入(コンタミネーション)の可能性を伝える: 同じ調理器具を使う、揚げ油を共有する、厨房で粉が舞うといったことで、別メニューの原材料が混ざる可能性があります。完全に防ぐのは難しいため、そのリスクがあることをお客様に伝え、重症の方には慎重に判断するよう促します
  • 「食べられる/食べられない」の判断はお客様にしてもらう: 原因食物も、症状が出る量も人によって違います。店は情報を出し、判断はお客様に委ねます
  • 問い合わせには正しい知識を持った人が対応する: 責任者が食物アレルギーの正しい知識を学びます

ハンドブックはさらに、「食物アレルギー対応」などと表示する場合は、製造中の意図しない混入の防止を含めた管理が必要だとしています。混入を防ぐ体制がないうちは、「対応」とうたうより、使っている原材料を正確に示すほうが実態に合います。

MENU04外国人客向けメニューへの書き方

表示義務がないぶん、書き方は店が決められます。消費者庁の資料にある考え方を、多言語のメニューに当てはめると次のようになります。

  • 何を対象に表示しているかを最初に書く: 包装食品向けにハンドブックは「アレルゲンは義務9品目を対象範囲としています」「この食品は29品目のアレルゲンを対象範囲としています」といった対象範囲の書き方を例示しています。メニューでも「特定原材料9品目について表示」のように範囲を示すと、載っていない食材が「使っていない」のか「表示していない」のかが区別できます
  • 料理ごとに、含む品目を書く: 料理名の横に品目名を並べるか、一覧表にまとめます。調味料や仕入れた加工品に含まれる分も数えます。消費者庁のハンドブックが紹介する事例では、カレーのルーに脱脂粉乳が入っていましたが、調理の工程では牛乳は入れていないからとメニューに牛乳の表示をしておらず、店員も知識不足でした
  • 調理場の共用を書く: 揚げ油や調理器具を共用している場合は、その事実を書いておきます
  • いつ時点の情報かを書く: 品目の改正やレシピの変更があるので、作成日や改訂日を入れておくと古い情報が残りにくくなります
  • 品目名の外国語は公的な対訳に合わせる: 消費者庁の英語版コミュニケーションシートでは、特定原材料9品目は shrimp(えび)、cashew nut、crab、walnut(くるみ)、wheat(小麦)、buckwheat(そば)、egg、milk、peanut と訳されています

絵で伝えたい場合、消費者庁の資料に使われている食物アレルギーのピクトグラムは、一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会の「みんなのピクト」で、個々のピクトグラムを複製・無断使用することはできないと明記されています。自店のメニューに使いたいときは同協会に問い合わせてください。

国土交通省の「多様な食文化・食習慣を有する外国人客への対応マニュアル」(平成20年)は、予約なしで来店する外国人客に備えて、テーブルの上などお客様の目につく場所に「アレルギーなど、食べられないものがございましたら、係員までお申し付け下さい」という注意書きを日英併記で置くよう勧めています。メニューの翻訳そのものの進め方や、誤訳を防ぐ確認の仕方は多言語メニューの作り方で説明しています。

ORDER05注文時の確認と、言葉が通じないときの道具

消費者庁は、お客様が自分のアレルゲンにチェックを付けて店員に見せる「食物アレルギーコミュニケーションシート」(スマートフォン向け)を、日本語・英語・中国語・韓国語で公開しています。特定原材料9品目と準ずるもの20品目が絵と名前で並び、「この食品には印をつけたアレルゲンを含んでいますか」と尋ねる形です。訪日外国人向けの食品表示制度パンフレット(日本語・英語・中国語・韓国語)の最後のページにも同じ趣旨のシートがあり、「調理場では複数のアレルゲンが使用されていますか」という質問も入っています。このパンフレットは複製・印刷して使えますが、個々のピクトグラムを抜き出して使うことはできません。

店側でも、こうしたシートを見せられたときの流れを決めておくと慌てずに済みます。消費者庁のパンフレットに載っている誤食の事例は、どれも接客と厨房のつなぎ目で起きています。

  • 作り直さずに出した: 卵を除いてほしいと伝えていたのに、卵がのったオムライスが運ばれ、上の卵をはがしただけで出し直したため卵が残っていた
  • 引き継ぎがなかった: 予約時に料理長と確認した内容が、料理長の休みの日に従業員へ伝わっていなかった
  • 知識が足りなかった: パン屋で米粉パンに卵と牛乳が入っていないか聞かれた店員が「入っていません」と答えたが、脱脂粉乳が入っていた。店員は脱脂粉乳が乳製品であることを知らなかった

消費者庁のパンフレットは、こうした事例を挙げたうえで、調理工程や接客方法等にルールを決めて、ルール通りの対応をするよう求め、わからないときには「わからない」と回答するよう示しています。国土交通省のマニュアル(平成20年)は、アレルギーをはじめとする食べられない食材について、口頭での理解が困難であれば、紙に書いてもらう、英語の辞書を使って指し示してもらうなどの対応を挙げています。農林水産省のガイドブック(平成29年)には、使っている調味料のパッケージを席まで持って行き、原材料をお客様に目で確かめてもらう店の例も載っています。会話の補助に翻訳アプリや翻訳機を使う場合の選び方は接客の翻訳ツールの選び方を参考にしてください。

RETAIL06土産物・食品を売る店で気をつけること

容器包装された加工食品には、原材料名の欄にアレルゲンが表示されています。表示は原則として原材料ごとに「マヨネーズ(卵を含む)」のように書く個別表示で、例外として最後に「(一部に卵・大豆を含む)」とまとめる一括表示もあります。英語・中国語・韓国語版もある訪日外国人向けパンフレットは、この表示の読み方を説明したうえで、飲食店やパン屋のパン、ショーウインドウのケーキのように包装されていないものは店員に確認するよう旅行者に呼びかけています。アルコール飲料にはアレルギー表示が義務付けられていないことも書かれています。

物販の店では、お客様に聞かれたときに商品の原材料欄を示せるようにしておくことと、量り売りや店頭で包まずに売る商品について、原材料を答えられる資料を手元に置いておくことが基本になります。先に書いたとおり、カシューナッツには経過措置があり、2028年3月31日までに製造・加工・輸入された加工食品(業務用を除く)は改正前の表示のままでもよいため、表示がない商品でも原材料に含まれている可能性があります。

EMERGENCY07お客様の体調が急変したとき

消費者庁の外食・中食事業者向けパンフレットは、食物アレルギーでは命に関わるアナフィラキシーショックが起こることがあるとして、緊急性が高い症状がある場合は、ためらわずに救急車を呼ぶ(119番通報)よう案内しています。症状の見分け方や現場での対応の手順は、同じパンフレットと、パンフレットが詳しい参照先に挙げている東京都の「食物アレルギー緊急時対応マニュアル」で確認してください。外国人のお客様の場合は、同行者との連絡や救急隊への説明に言葉の壁が加わるので、誰が通報するか、何で通訳するかを店の中で決めておくと動きやすくなります。

FAQ08よくある質問

Q. 飲食店のメニューにアレルギー表示をしないと違法ですか?
A. 違法ではありません。食品表示基準でアレルギー表示が義務になるのは容器包装された加工食品などで、飲食店で提供される食品や出前は対象外です。ただし消費者庁は、表示義務がない店でもメニューやウェブサイトでの表示、スタッフの研修に取り組むよう求めています。飲食店でも、容器包装に入れた食品を販売する場合は表示が必要です。
Q. 表示が義務になっているアレルゲンは何品目ですか?
A. 2026年4月1日にカシューナッツが加わり、えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)の9品目です。表示が推奨されている特定原材料に準ずるものは、ピスタチオを加えた20品目です。カシューナッツには2028年3月31日までの経過措置があります。
Q. 外国人のお客様とアレルギーについて話すときに使える公的な資料はありますか?
A. 消費者庁が「食物アレルギーコミュニケーションシート」(スマートフォン向け)を日本語・英語・中国語・韓国語で公開しています。訪日外国人向けの食品表示制度パンフレット(同じく4言語)の最後のページにも、お客様がチェックを付けて店員に見せるシートがあります。
Q. 「アレルギー対応メニュー」と書いてもよいですか?
A. 消費者庁のハンドブックは、「食物アレルギー対応」等と表示する場合は、製造中の意図しない混入の防止を含めた管理が必要だとしています。器具や揚げ油を共用していて混入を防ぎきれない場合は、使っている原材料と共用の状況を正確に示し、食べられるかどうかの判断はお客様にしてもらうのが消費者庁の示す考え方です。
Q. 日本の9品目にない食材でアレルギーがあると言われたら?
A. 日本と海外では表示の対象品目が違い、たとえばEUではマスタードやセロリなども義務表示の対象です。日本の表にない食材でも、使っているかどうかをレシピと仕入れ品の原材料で確かめて答えます。わからない場合は「わからない」と伝えるのが、消費者庁のパンフレットが示す対応です。

アレルギーの情報提供は、多言語メニューや店頭の案内と一緒に整えると手戻りが少なくなります。店頭の表示は店頭の案内表示を多言語にする方法、宗教や菜食の配慮は食の制限対応の基本を参照してください。

※本記事は食物アレルギー表示制度と店舗での情報提供について、公的機関の資料をもとに整理したものです。個別の商品が表示義務の対象になるかどうかは、消費者庁食品表示課または最寄りの保健所にご確認ください。症状や治療に関することは医療機関にご相談ください。

出典

確認状況

最終確認日

2026/10/14

執筆

編集部

注意

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