訪日客は何にいくら使う?インバウンド消費動向調査の読み方
| 一般客1人当たり旅行支出(2025年確報) | 22万8,782円 |
|---|---|
| 宿泊費(1人当たり) | 8万4,057円 |
| 菓子類の購入率 | 72.7% |
| 免税手続きをした人 | 57.5% |
| 分類 | ツール選びの考え方 |
| 所管 | 観光庁 |
| 最終確認日 | 2026/10/14 |
| 出典 | 6本 |
この記事の要約
観光庁「インバウンド消費動向調査」の2025年確報と2026年4-6月期2次速報から、国・地域別の1人当たり支出、飲食費と買物代、よく買われる品目と購入者単価を読み、店で使える範囲を整理します。
本文
訪日外国人(クルーズ客を除く一般客)が日本で使うお金は、1人あたり平均で22万8,782円です。観光庁の「インバウンド消費動向調査」2025年暦年の確報で、一番大きいのは宿泊費(8万4,057円)、次が買物代(6万1,136円)、飲食費(5万221円)でした。買い物の中身では、お菓子を買った人が72.7%と最も多く、衣類(47.9%)、お菓子以外の食料品・飲料・たばこ(41.7%)が続きます。この記事では、国・地域別の1人当たり支出、費目別の内訳、品目別の購入率と購入者単価を、観光庁の公表値だけで読み解きます。国・地域別の人数や消費額の順位はインバウンド国籍別データで扱っているので、ここでは「1人が何にいくら使うか」に絞ります。
BASICS01読む前に知っておきたい調査のしくみと言葉
この調査は、空港や港の出国ロビーにいる訪日外国人に調査員が声をかけ、タブレット端末か紙の調査票を見せながら聞き取る方式で行われています(全国調査は国内17の空海港が対象)。観光・レジャー目的だけでなく、業務や親族・知人訪問で来た人も含みますが、日本に住んでいる外国人は含みません。買物をした場所、決済方法、最も満足した購入商品・飲食の数字は、国内25の空海港で行う地域調査の結果です。数字を読むときに取り違えやすい言葉は次のとおりです。
| 1人当たり旅行支出 | 日本滞在中に払ったお金(旅行中支出)に、パッケージツアー代金のうち日本国内に落ちた分を推計して足した額です。日本までの国際線の運賃は含みません |
|---|---|
| 一般客とクルーズ客 | クルーズ船の寄港で上陸した人(船舶観光上陸許可を得た人)が「クルーズ客」、それ以外が「一般客」です。1人当たりの数字は、断りがなければ一般客のものです |
| 全目的と観光・レジャー目的 | 全目的は業務などを含む全体、観光・レジャー目的はその一部です。本記事は全目的の数字を使っています |
| 購入率 | その品目を買った人の割合です |
| 購入者単価 | その品目を買った人だけで平均した支出額です。買わなかった人も含めた1人当たりの金額とは別の数字です |
| 速報と確報 | 四半期ごとに1次速報、2次速報が出て、1年分がそろうと暦年の速報、続いて確報が出ます。2026年の四半期の数字は、2027年3月31日公表予定の暦年確報で確定します |
BY COUNTRY02国・地域別の1人当たり旅行支出(2025年確報)
2025年の一般客1人当たり旅行支出は22万8,782円(2024年比0.9%増)です。国・地域別ではドイツ(39万2,251円)、英国(39万1,320円)、オーストラリア(38万6,512円)の順に高く、韓国(10万5,058円)が他より低くなっています。主な国・地域の内訳は次のとおりです。
| 全国籍・地域 | 22万8,782円(飲食費 5万221円、買物代 6万1,136円、平均9.5泊) |
|---|---|
| 韓国 | 10万5,058円(飲食費 2万8,660円、買物代 2万5,639円、平均4.0泊) |
| 台湾 | 18万4,413円(飲食費 4万169円、買物代 6万79円、平均6.5泊) |
| 香港 | 22万6,011円(飲食費 5万4,361円、買物代 6万8,917円、平均6.2泊) |
| 中国 | 24万6,550円(飲食費 5万1,581円、買物代 9万1,457円、平均9.1泊) |
| タイ | 20万5,246円(飲食費 4万4,989円、買物代 6万5,065円、平均8.6泊) |
| シンガポール | 31万9,901円(飲食費 6万4,899円、買物代 10万620円、平均9.1泊) |
| 米国 | 33万9,708円(飲食費 6万9,616円、買物代 6万7,236円、平均12.0泊) |
| 英国 | 39万1,320円(飲食費 8万2,108円、買物代 5万3,121円、平均14.4泊) |
| フランス | 35万9,869円(飲食費 7万3,941円、買物代 6万4,777円、平均18.4泊) |
| オーストラリア | 38万6,512円(飲食費 8万4,325円、買物代 6万6,788円、平均13.5泊) |
表に挙げた国・地域では、平均泊数が長いほど1人当たりの総額も高い傾向があります。ただし同じ9.1泊でも中国は24万6,550円、シンガポールは31万9,901円です。ベトナム(平均45.3泊、30万3,379円)やフィリピン(平均15.4泊、18万7,760円)のように、泊数が長くても総額がそれほど高くない国・地域もあります。欧米豪は平均12.0〜18.4泊と長く、旅行消費額に占める宿泊費の割合は英国で49.3%あります。一方、中国は旅行消費額の37.1%が買物代で、他の国・地域より買物の比重が大きいと観光庁は分析しています。
滞在の長さをならした数字も年次報告書に載っています。日本滞在中に払ったお金(パッケージ分を含まない旅行中支出)を平均泊数で割った1泊当たりの額は、全体で2万2,018円、韓国は2万5,003円で、全体平均を上回ります。香港(3万4,329円)とシンガポール(3万4,325円)が特に高く、米国は2万6,205円、英国は2万4,139円、フランスは1万8,440円です。1人当たりの総額が低い国・地域の旅行者が、1泊当たりに使う額まで低いとは限らないことがわかります。
クルーズ客は別の動き方をします。2025年のクルーズ客の1人当たり旅行支出は2万8,357円で、そのうち2万5,315円が買物代でした。寄港地での滞在が短く、使うお金の大半が買い物です。
CATEGORY03費目別にみる飲食費と買物代
2025年の訪日外国人旅行消費額9兆4,549億円を費目別にみると、宿泊費36.6%、買物代27.0%、飲食費21.9%、交通費10.0%、娯楽等サービス費4.5%です。金額にすると買物代が2兆5,541億円、飲食費が2兆688億円で、2024年と比べると宿泊費と飲食費の構成比が上がりました。
1人当たりの飲食費は全体で5万221円です。国・地域別ではイタリア(8万4,477円)、オーストラリア(8万4,325円)、スペイン(8万3,595円)、英国(8万2,108円)が高く、台湾は4万169円、韓国は2万8,660円です。買物代は全体で6万1,136円、シンガポール(10万620円)と中国(9万1,457円)が高く、韓国は2万5,639円でした。
最新の2026年4-6月期(2次速報)では、一般客1人当たり旅行支出が24万4,733円(2025年同期比3.4%増)、うち飲食費5万3,231円、買物代6万6,303円です。この四半期の資料には1人1泊当たりの費目別支出(主な国・地域のみ)も載っており、飲食費は全体で6,201円、韓国7,662円、台湾6,756円、香港9,063円、中国5,263円、米国7,354円でした。こちらはパッケージ分を含む旅行支出をもとにした数字なので、前の段落の年次報告書の1泊当たりの額とは計算のもとが違います。並べて比べないようにしてください。なお2026年の調査からメキシコ、北欧、中東が国・地域の区分に加わりました。2025年以前の「その他」にはこの3つが含まれているので、比べるときは注意してください。
ITEMS04買い物で多い品目と1人がいくら使うか
2025年(確報)の買物代のうち、主な品目の購入率と購入者単価は次のとおりです(全国籍・地域、全目的。電気製品5.3%、その他買物代11.6%などは省略)。
| 菓子類 | 購入率 72.7%/購入者単価 1万1,127円 |
|---|---|
| 衣類 | 購入率 47.9%/購入者単価 2万7,160円 |
| その他食料品・飲料・たばこ | 購入率 41.7%/購入者単価 1万1,078円 |
| 化粧品・香水 | 購入率 34.6%/購入者単価 2万1,128円 |
| 医薬品 | 購入率 27.0%/購入者単価 1万1,882円 |
| 靴・かばん・革製品 | 購入率 24.5%/購入者単価 3万8,311円 |
| 酒類 | 購入率 22.0%/購入者単価 1万1,462円 |
| 健康グッズ・トイレタリー | 購入率 13.2%/購入者単価 1万6,223円 |
| 民芸品・伝統工芸品 | 購入率 8.3%/購入者単価 1万3,692円 |
| 宝石・貴金属 | 購入率 2.0%/購入者単価 8万7,765円 |
菓子類はどの国・地域でもよく買われています。タイ85.9%、韓国83.4%、台湾79.0%、中国76.4%などで高く、21区分のうち最も低いフランスでも47.2%です。ただし購入率が近いタイ(85.9%)と韓国(83.4%)でも、購入者単価はタイが1万6,372円、韓国が6,844円と、1人が使う額には差があります。
国・地域で差が大きい品目もあります。医薬品は台湾43.9%、韓国37.1%、中国34.1%に対して米国は6.1%。化粧品・香水は中国が54.4%で、購入者単価も3万1,951円と高めです。民芸品・伝統工芸品は全体では8.3%ですが、英国20.1%、ドイツ25.5%、フランス25.5%、イタリア26.1%、スペイン27.0%、米国19.0%と欧米で高く、韓国は3.9%です。酒類は韓国37.3%、オーストラリア37.1%、英国33.3%が高く、衣類は米国で58.4%と、米国の中で最も購入率の高い品目になっています。
「最も満足した購入商品」(自由回答)の集計では、その他買物代21.2%、菓子類19.1%、衣類17.5%、靴・かばん・革製品9.5%の順でした。菓子類を選んだ人の満足理由は「美味しい」が80.3%で最も多くなっています。
WHERE05どこで買い、何で払い、何を食べて満足したか
買物をした場所(複数回答)は、コンビニエンスストア85.3%、百貨店・デパート59.4%、ドラッグストア59.2%、空港の免税店55.3%、スーパーマーケット50.4%の順です。観光地の土産店は36.2%でした。
使った決済方法(複数回答)は、現金92.3%、クレジットカード75.0%、交通系ICカード36.2%、モバイル決済20.9%、デビットカード6.6%です。現金を使った人が最も多い一方で、4人に3人はクレジットカードも使っています。店での決済手段のそろえ方はインバウンドの決済対応にまとめています。
滞在中に消費税の免税手続きをした人は全体の57.5%で、国・地域別では中国75.3%、台湾72.5%、香港63.8%と、台湾・香港・中国で6割を超えています(韓国は54.1%)。品目別に免税手続きをして買った人の割合は、衣類28.1%、菓子類22.2%、化粧品・香水21.0%、医薬品16.1%の順です。免税店の始め方は免税店になるにはで扱っています。
「最も満足した飲食」(自由回答)の集計では、肉料理32.5%、ラーメン19.7%、寿司13.7%、魚料理9.7%の順でした。満足理由は全体で「美味しい」94.4%、「食材が新鮮」45.2%、「伝統的・日本独特」23.2%が多くなっています。
USE06店での使い方と、この調査からは言えないこと
- 自店の業種に当たる費目だけを見る: 飲食店なら飲食費と「最も満足した飲食」、物販店なら品目別の購入率と購入者単価です。1人当たりの総額は宿泊費の比重が大きく、店の客単価とは別物です
- 総額ではなく1泊当たりでも比べる: 韓国のように1人当たりの総額は低くても、1泊当たりでは全体平均を上回る国・地域があります
- 購入率と購入者単価を分けて読む: 菓子類は買う人が72.7%と多く購入者単価は1万1,127円、宝石・貴金属は買う人が2.0%でも買った人の平均は8万7,765円です。品ぞろえや価格帯を考えるときは、両方の数字が要ります
- 四半期の数字は季節を考える: 比べるなら前年の同じ四半期と比べます。速報は改定されるため、年間の判断には確報を使うのが安全です
- 全国の平均であることを忘れない: 自店の立地や業態の客がこの通りに使うとは言えません。この調査から、対策をした場合に売上がどれだけ増えるかはわかりません。都道府県別の集計表も参考として公表されています
国・地域ごとに来店の多い客層がわかっているなら、その国・地域の列だけを拾い出すと、品ぞろえやメニューの説明で何を優先するかを考える材料になります。メニューの多言語化は多言語メニューの作り方、全体の優先順位のつけ方はインバウンド対策の始め方を参考にしてください。
FAQ07よくある質問
※本記事の数値は観光庁「インバウンド消費動向調査」の公表資料(2025年暦年確報の概要・年次報告書・集計表、2026年4-6月期2次速報の概要)によります。四半期の数字は新しい公表で入れ替わるため、最新の値は観光庁の調査ページで確認してください。
出典
確認状況
2026/10/14
編集部
制度・数字は改正等で変わります。最新の内容はリンク先の公式ページでご確認ください。


